Dream Japan

vol.15:
"#31" - "Individual Olympic Games Start Now!

"ナンバー31" - それぞれのオリンピック・ゲーム、始まる!!

(2012/7/27)

野球ファンはもとより、日本人であれば、名前くらいは誰もが知っているであろうシアトル・マリナーズのイチロー外野手が何と、ニューヨーク・ヤンキースへ移籍した!

ベーブ・ルースにルー・ゲーリッグやジョー・ディマオ、「ON」命名の元になったマントル・マリスの「MM砲」、ゴジラ松井やA.ロッドやジーターと同じピンストライプのユニフォームを遂にイチローも身にまとうことになったのだ!

ベーブ・ルースもヤンキースへの移籍組だが、往年のスターでは、元祖「NYの31番」デーブ・ウィンフィールド、ホセ・カンセコ、ダリル・ストロベリー、レジー・ジャクソン、セシル・フィルダー、ドワイト・グッデン、ランディー・ジョンソン、ロジャー・クレメンスらも他チームからの移籍によって在籍した。

まさに"電撃"移籍であり、このニュースは日米2ヶ国を駆け巡り、毎日のようにプレーやコメントが報道されている。

イチローの代名詞といえば、"Area51"とも言われた背番号51であったが、NYで愛され、かつてイチローが憧れたバーニー・ウィリアムズの背番号でもあり、「ヤンキースでは、ボクの方からお断りというか、とてもつけることはできない」と独特の言い回しで着用を辞退した。

バーニーは第2回WBCにも出場したプエルトリコ出身のスター選手であり、陸上競技でも15歳の時に国際大会で金メダルを4つ獲得していたアスリートであったが、ヤンキースのマイナー入りして、「ゴールデングラブ」4度と「首位打者」を1度受賞した名選手であった。

ギターの腕前も優れ、ミュージシャンとしてCDも発売している。

イチローも感性にすぐれた天才肌であるが、兄はグラフィックデザイナーとして活躍しており、アーティスティックな感覚を持っているようだ。

日米通算では3000本安打を超え、3800本超、もうすぐ4000本にも手が届くか、という状態であり、数ヶ月前は誰もがそれをシアトルで達成すると思っていた筈だ。

ベテランになったイチローは悩み抜いた上で「(若手のためにも)僕がいるべきではない」「環境変え、刺激求めたい」といっていさぎよく、シアトルを去った。

彼を慕って海を渡った川崎や岩隈にイチローの本来の姿を披露できない日々が続いたことも、彼を悩ませたのかも知れない。

新天地で選んだ背番号は「31」だ。イチローは「フィーリング」と答えたが、日本のオールドファンにも、この番号は大いに受け入れられるだろう!

いわずと知れた、往年のスーパースター、"ON"(王さん・長嶋さん)の背番号を合わせた番号でもあるからだ。

タンパベイ・レイズに移籍した松井も馴染みのある背番号55から、「35」に変更し、「師匠の番号(3)をひとつ頂きました。」と答えたが、師匠とは言わずと知れた、"ミスター、長嶋茂雄"氏である。

1973年まで続いた日本野球史に燦然と輝くV9を達成し、読売ジャイアンツを大人気チームにしたのも、プロ野球そのものを国民的スポーツにしたのもONの功績があってこそであり、それぞれ首位打者には長嶋さん6回と王さん5回、長嶋さんは日本シリーズMVPに4回、王さんは本塁打王に実に15回もなっている大選手である。

長嶋写真集1 長嶋写真集2

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今期、復刻版ユニフォームでも話題になっているが、その後V9以来苦悩の続いたジャイアンツが81年に実に8年振りの日本一を遂げたときの主力選手がルーキー原(巨人監督)、中畑(横浜DeNA監督)らであり、伝説の「伊東キャンプ」で心身共に成長を遂げてようやくレギュラーを手中にしたはずなのに、原加入で控えに回った篠塚選手がレギュラーとして先発出場したのは実に開幕約1ヶ月たった5月5日のゴールデンウィークのことであったが、その年に守備の名手土井の後継者と目されていた篠塚選手が"安打製造機"として覚醒し、大爆発して阪神藤田平と首位打者争いをし、ONの巨人での日本人選手シーズン打率記録を抜く.357を打ち、日ハムとの日本一を決める決勝タイムリーも打ったという年でもあった。

イチローの原型は、ONというよりも、名手であったその篠塚選手が内野でなく、外野に回って俊足を生かして内野安打を多く打てるようになったイメージに近い。

実際、バットはミズノの篠塚和典モデルがベースであり、「遠くから見ても、それだけがもうチカチカ輝いていた」と本人も語っているが、芸術的なバットコントロールには共通した部分があり、プロ入団すら危ぶまれたろく膜炎と、腰痛持ちだった篠塚氏よりも、より健康で強靭な体に恵まれたことでイチローは海を渡り、さらなる輝きを放てたのであろう。

イチローと松井はそのV9時代を挟んだ1973年(イチロー)と、長嶋引退の1974年生まれ(松井)である。

松井がレイズで戦力外になったのは残念であるが、西武黄金時代に「1」と「3」をつけていた、秋山、清原の「AK砲」にも陰りが見えたときがあった。年齢が上の秋山選手が1993年に本塁打30本は打ったものの、打率.247に終わり、92年に首位打者と盗塁王を獲った佐々木誠選手(現NTT西日本監督)とトレードされたことがあった。

その後、秋山選手は福岡に渡って万年下位に沈んでいたダイエー・ホークスで小久保、松中、井口、城島らと王監督の日本一を支え、国民栄誉賞をとりながら、下位でファンに卵を投げつけられても監督を続けて日本一になった王監督の後任としてソフトバンクの監督になり、2011年の日本シリーズ王者になったことはご承知のとおりである。

そういった点では、松井選手にも陰りがみえたとはいえ、大いに今後の野球人生でもチャンスがあり、さらに様々な出会いの中で、成長をしていくチャンスがあるであろう。

また、イチロー選手はヤンキースの一員として、自身の打棒復活と、まだ見ぬチャンピオンズ・リングをかけた挑戦を続けるつもりであろう。

7月24日の移籍後初の試合では、「8番ライト」としてシアトル・セーフコ・フィールドでプレーしたが、"史上最強のライパチ君"(人気マンガがあった)とも呼ばれたものの、ジラルディ監督は3連戦の最後には、「一番イチロー、二番ジーター」を早速、トライした。2011年に49盗塁で盗塁王に輝いた故障中のガートナー、オークランド時代には35本塁打も放ったスウィッシャー、2011年41本塁打119打点で打点王のグランダーソン、DHも兼ねるイバニエスとA.ジョーンズといった選手との外野のポジション争いもあるが、2011年の成績では、陰りがみられたとはいえ、そのヤンキース全外野手中No.1の.272であり、打率面ではトップであるのでそれが3割を超え、30盗塁ができるようであれば、レギュラー獲得のチャンスはあろう。

1993年に第二次長嶋政権初年度になった際に前年.266で同じく陰りがみられながら、ミスター就任に発奮して.337の高打率を残した先人、篠塚選手の例もある。(ちなみに1993年は松井選手のルーキーイヤーでもあった。)そしてミスターですら、.269で陰りが見られた翌年1971年に、最後の首位打者となる.320の高打率を残した先例がある。

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WBCの日本のプロ選手の出場辞退報道も一時は加熱したが、正直、「内輪の問題」と思ってファンは関心をもたない方がよい程、イチローの真摯な野球侍としての"情熱"がそこには存在する。

年俸14億円でWBCに出なくてもお金も地位も名誉もあったトップ・アスリートのイチローが名誉を失うリスクをおそれず当時、WBCに出る、と決意してくれたお陰でどれ程、プロ野球人気回復に貢献したか?今回のボイコットで彼に意見を求めたのか?も問いたいところでは、ある。

7月27日からはじまるロンドン・オリンピックは第30回大会であるが、正式に第31回に数えられることはない、イチローにとっても、スポーツファンにとってもアグレッシブな、"ナンバー31"を背負った新たな挑戦がはじまることとなった!


◆"State-of-the-Art Point":

孤高の天才、"侍"イチローを真の意味で日本で全国区のスター選手にしたのはWBCという国際大会の出場をリスクをおって決意してくれたことからであった。

WBCのNPBプロ選手不参加問題が話題にもなっているが、日本の世相が不景気な中で、年俸云億を超えるようなリッチなスター選手たちが集まって分配金で揉めているのであるから、その議論に国際大会での日本人選手の活躍を見たいファンは不在であると思うし、逆に出たいアマチュアの選手はたくさんいるであろうから、仮に金メダルという日本の名誉には結果的にならなくても、彼らの将来の成長を助長する大会と位置づける代替案もある。

オリンピックも当初はアマ参加のみであったし、7月27日よりはじまるロンドン五輪の出場選手の年俸、分配金と比較したら、いくら野球がメジャースポーツだとはいえ、あまりスポーツファンが議論に入る必要はない内輪話のように思われる。

確かに、WBCでの日本企業からの広告収入は70%近くあり、日本のプロ選手の分配は僅か13%を25名で分配する形なのに対して、メジャーの分配金は66%もある。但し、配分は日本の10倍の250名での分配としている事実もあるため、何か真にフェアーな分配なのか、イマイチ不明である。

しかし原点に帰れば、「国際戦略に基づく"野球振興"の為にWBCを行う」、ということを目的に日米の2強がもっとより深く話し合った方がよいのは確かではないだろうか?

サッカーと比べ、とりわけ欧州や南米での野球人口が少ないことが、ロンドン五輪から野球を除外させた理由なのであるから、高年俸のメジャー選手、日本の選手の保険や、何より、野球の国際的な普及のためにもっと使います、となれば、日本の選手会も歩み寄れる余地があるのではないだろうか?

それこそ、現状、野球が五輪でエキシビションででも復帰するには、何より、欧州や南米での普及が大きな鍵となるはずだ。

WBCI側もまずは、民主的に運営するなら、議論のテーブルに着くか、アカウンタビリティ(説明責任)を明確にすべきだ。NPBも「侍ジャパン」という別ブランドでのスポンサー構想もあるようであるが、突き詰めていけば代替案になる可能性もあるが、スポンサーはエキシビション、フレンドリー・マッチよりも、"国際大会"、"国際市場"での真剣勝負を期待している筈だし、選手も高額サラリーだとはいえ万が一の事態で引退したら、その後の生活の保障はないのであるから、とにかくもっともっと協議をすべきだ。

また日本の選手会も、NPBの所属選手でない、ダルビッシュ、黒田、岩隈、上原、松坂、田澤、高橋尚、五十嵐、和田、建山、斉藤らに、イチロー、松井、青木、福留、川崎、西岡らが「出たい!」といって、アマ選手と混成チームが出来てもよいのだろうか?

それこそ、アマ選手は、一流との対戦でプロ選手のレギュラーを脅かす急成長を遂げるかも知れないし、喉から手がでるほど出場したい選手はたくさんいる筈だ!

かつての野茂、古田、松中、小久保、井口らがアマとして五輪に出て、国際舞台の経験を積んで成長した先例も忘れてはならない。

さらにいえば、「女子野球」のW杯が8月にカナダで行われるが、彼女たちは男子プロ野球選手の最低年俸にも満たないプロ、アマ、学生の集まりであり、彼女たちは純粋に「野球が好き」でW杯に出場するのであるから、次元の違う議論をしているようにしか、思えないし、彼女らにこそ、ぜひともスポンサー企業が名乗り出て、関東でも、全国でも、女子プロ野球を盛り上げるため、参画してもらいたいものである!

男子に比べて収益は見込めないかも知れないが、上記ご意見に賛同する企業、スポンサー様等がいらっしゃれば、ぜひとも、コンタクト頂きたいものである。

インターアーツ mail@interarts.info

甲子園が感動を与えるのも、女子野球選手が真摯に取り組んでいるように見えるのも、「野球が好きだ」という純粋な気持ちが見ている観客にとって、大いに伝わってくるからであろう!

全国区の人気を誇る巨人戦も阪神戦も、それぞれ10%の視聴率を切った実例もあるのだから、少しはプロ野球にも"純粋なスポーツ"としての原点をみたいものである。ジャイアンツが球場にファンを引きつける企画をたくさんやり出しているのはよいが、選手が必死になっていることがわからなければ、観客も応援のしがいがない。

幸か、不幸か、今年に限っては、ヤクルト石川投手にあわやノーヒッターと言う開幕で坂本がオフに課題の守備を教わった宮本選手を強襲するヒットで一難を逃れたものの、しばらく最下位に沈んだことからジャイアンツ選手たちも必死になって首位を奪回してはいるが、特に阪神、横浜DeNAファンは苦虫を噛む思いで現在の戦況を見ていることであろう。

清原がなぜカリスマになれたのか?後に憧れのジャイアンツのユニフォームを着れたが、西武にいって巨人を倒す直前の号泣は本気の涙だったからであろう。単に後に"番長"として夜の街で人気を博しただけだったら、多くのファンの心を掴めなかっただろうし、なぜサッカーのW杯では負けたチームの選手は大泣きする選手が多いのに、ペナントや日本シリーズで負けた選手はあまり泣かないのか、その差も素人にはよくわからないだろう。

何も野球選手に泣け、と言うわけではないが、見ている我々が"泣けるほど"感動させるスポーツとしての筋書きのないドラマ、真剣勝負こそ、プロ野球で今、もっとも復活してほしい在りようなのである。

長嶋茂雄さん、王貞治さんがスーパースターになったのは、初のONアベックホームランを打った天覧試合からであるとよく言われるが、とりわけ長嶋さんに関しては、その前のデビュー戦の金田投手からの4打席4三振もあったからではないのだろうか?

注目のルーキーが、すべて空振り三振!見逃しではなく、熱い男、長嶋茂雄ががむしゃらに、必死にバットを振ったからこそ、大拍手をおくられ、ホームランやヒットはもとより、トンネル・エラーをしてですら、ファンを魅了し、スーパースターになっていったのである。

今や国民的スターになった澤選手に代表される女子サッカー、五輪の各代表選手たちをはじめ、イチローにとっても、松井にとっても、女子野球選手にとっても、はたまた、もっぱら場外戦中のNPB・選手会とWBCIにとってもそれぞれにとっての"多様なオリンピック・ゲーム"が今、始まっている!

金メダルを目指して、とにかく純粋に、がむしゃらに、ファンを惹きつけ、感動を与えて震災復興中の日本に"勇気"を与えて欲しいものである!


・ロンドン五輪番組表

・第30回ロンドン・オリンピック2012:JOC(公益財団法人日本オリンピック委員会)公式サイト

・祝ロンドン・オリンピック!面白アプリ続々リリース!



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